All posts
product2026/10/18

Zotero vs Mendeley:2026年に選ぶ文献管理ツールは?

ZoteroとMendeleyの無料枠、Word連携、AI機能、移行を比較。Elsevier傘下でのアカウント依存と、文献・既存原稿を移す際の負担を解説します。

ZoteroとMendeleyはどちらも無料で始められます。拡張性と長期的なライブラリを重視するならZotero、公式クラウドの無料容量を重視するならMendeleyが候補です。 既存原稿がある場合は、移行方法に直結するMendeleyのクライアントとWordプラグインの版を先に確認してください。

Mendeley Desktop、Mendeley Reference Manager、Mendeley Citeでは、書き出し方法と引用の互換性が異なります。Zoteroでは公式添付同期の無料枠も費用評価に含めましょう。

この Zotero vs Mendeley 比較では、無料範囲、データの移しやすさ、執筆連携、AIの順に、選択と移行の判断材料を整理します。

この記事について

主にZoteroとMendeley Reference Managerを比較し、旧Desktopの違いを別途説明します。公式文書とコミュニティの議論に基づく内容で、統一条件の性能試験は行っていません。執筆はBibGenieチームです。BibGenieは私たちが開発するZotero向けAIプラグインです。

先に結論:Zoteroを選ぶ人、Mendeleyを継続する人

重視すること最初の候補合わせて確認すること
長期ライブラリ、拡張、データ管理Zotero添付同期、バックアップ、プラグイン保守
公式添付ストレージの無料容量Mendeley無料2 GBの個人用ストレージ。AIと共同作業の権限はプラン別
既に安定したMendeleyの共同作業当面Mendeley実際の原稿で試してから移行を判断
LibreOfficeや複数の執筆ツールZoteroWord・LibreOffice・Google Docsとの連携
Mendeley Citeの引用が多数ある原稿その原稿では既存ツールを維持ZoteroはCiteフィールドを読めず、文書を別途処理する必要がある
Zotero内でAI閲覧・検索・整理Zoteroと対応プラグインプラグインとモデルの費用を別評価

新しい長期研究庫にはZoteroを先に試せます。Mendeleyで安定して作業できているなら、新プロジェクトでZoteroを試してから旧庫・旧稿の移行を検討しましょう。

無料プラン:ソフト、クラウド容量、AI権限

文献管理の無料利用と添付同期は別

どちらもソフト費用をかけずに始められますが、無料特典の構成が違います。

項目ZoteroMendeley
基本文献管理無料無料プランあり
公式クラウドの無料ファイル容量300 MB2 GBの個人用ストレージ
AIと費用プラグインとモデルサービスによるReading Assistantの利用資格・残り回数はアカウント表示で確認。追加機能はプラン別

2 GBは個人用ストレージであり、グループの共有容量ではありません。 グループストレージには別の制限があり、個人用ストレージをアップグレードしても共有容量は増えません。チームで利用する前に、現在のグループ制限を別途確認してください。無料アカウントと共有容量の説明

詳細は Zotero Storage と Mendeley Pricingを参照し、購入前に容量と課金方法を確認してください。

同じPDFを複数端末で読みたいなら、Mendeleyの無料容量には利点があります。主にローカルで作業する場合は、クラウド容量だけでは判断できません。

移行後は別端末で数件のPDFを開き、アップロード完了を確認します。文献レコードが表示されることと、添付が同期済みであることは別です。

容量の実用的な見積もり方

普段読む文献を抽出し、PDFと補足資料の実容量を調べ、どれを端末間で共有するか決めます。スキャン書籍、画像の多い論文、補足データは通常のテキストPDFとサイズが大きく異なり、論文数だけでは比較できません。

研究室では共有資料と個人資料の課金、離籍後の扱い、添付の保守担当も確認します。個人向け無料枠の大きさだけで共同作業の適性は決まりません。

MendeleyのElsevier傘下という点は何に影響するか

会社の背景とともにアカウント・データの依存関係を見る

Mendeleyは2013年にElsevierへの加入を発表しました。公式発表

長期利用では、アカウント、資料、執筆がプラットフォームにどう依存するかを調べます。

  • 文献とPDFはどこに保存され、どの作業にクラウドアカウントが必要か。
  • アカウント終了、所属変更、ログイン障害時にどう復旧するか。
  • 文献、注釈、ノート、フォルダを個別に書き出せるか。
  • プラグインを替えても原稿の引用を維持できるか。

この確認は他の商用サービスにも共通です。所有企業だけを見るより、復旧、書き出し範囲、オフライン利用を調べるほうが移行負担を把握できます。

混同しやすい3つの名称

名称意味区別する理由
Mendeley Desktop旧デスクトップクライアント多くの解説や評価がこの世代に基づく
Mendeley Reference Manager現行の文献管理クライアント操作・書き出し・同期が旧版と異なる
Mendeley CiteWordの引用アドイン旧Desktopプラグインとは文書フィールドが異なる

Mendeleyは2025年、Desktopの新機能開発は行わず、重要なセキュリティ修正など必要な保守を継続すると発表しました。Desktopの保守方針

操作や不具合の解説を探す際は、Desktop、Reference Manager、Citeのどれかと、対応版を確認してください。

データの出口:レコード、PDF、注釈、ノートを別々に確認

RISやBibTeXは主に文献レコードを転送する形式です。Zoteroの移行文書によると、全フォルダ、フィールド、PDF注釈を含むわけではありません。それらも移すなら内蔵オンラインインポーターを先に試します。ZoteroのMendeley移行ガイド

同ガイドは、Mendeleyのローカルデータベース暗号化により以前のローカル読み込み方法が制限された経緯も記載しています。現行のオンライン移行では、先にデータと添付をMendeleyサーバーへ同期する必要があります。レコードを書き出せることは、研究庫全体をオフラインで移せることを意味しません。 アカウント、アップロード状況、資料を該当クラウドで扱えるかも試行時に確認します。

注釈が重要なら、注釈付きPDFの書き出しも別途試してください。項目の Info → Files でファイルの三点メニューから Export PDF with annotations を選びます。PDF上で注釈が見えることと、移行先で編集できる注釈として扱えることは別に検証します。Mendeley公式手順

Notebookのノート、PDFハイライト、付箋も別々に確認します。Zoteroフォーラムには、ハイライトと付箋は移ったがNotebook内容が十分に現れないという報告があります。注釈とNotebookの移行議論

全ライブラリを移す前に、少数の資料で書き出しと復元を試してください。 特に重要な注釈とノートを確認します。

MendeleyからZoteroへ移る4段階

1. 元環境と原稿の状態を記録する

クライアント、Word、アドインの名称と版を記録します。ページ指定、複数文献の引用、参考文献表を含む原稿を複製し、移行後の照合に使います。

必要なフォルダ、注釈付きPDF、読書記録のあるNotebookを一覧にします。この一覧が確認対象になります。

2. Zotero内蔵のオンライン読み込みを先に試す

元レコードと添付が同期済みで、Mendeleyのオンライン環境から開けることを確認します。Zoteroを更新し、File → Import からMendeleyのオンライン読み込みを選んで認可します。詳細と既知の問題は公式ガイドを参照してください。

利用可能なMendeleyアカウントとサービス認可が必要です。ログイン問題を先に解消し、機関認証を使う場合は個人アカウントとの関連付けも公式手順で確認します。

グループライブラリの直接読み込みには対応していません。対象を個人庫のコレクションにコピーして読み込み、その後Zoteroグループで構造を再作成できます。共同管理者と範囲を合意し、元グループを保存してください。

3. 完了表示だけでなく項目別に確認する

対象確認事項
レコード題名、著者、年、DOI、資料タイプ
フォルダテーマ階層と所属文献
PDF直接開けるか、別端末でも使えるか
注釈・ノートハイライト、付箋、Notebookの必要内容
執筆連携移行先プラグインが旧引用を認識・更新できるか

想定と違う項目は少数で再現し、現行版の文書とフォーラム回答を参照します。検証前に元庫を削除したり、同じ資料を何度も読み込んだりしないでください。

4. Wordプラグインに応じて旧稿を扱う

旧DesktopとCiteは分けます。

  • 旧Mendeley Desktopプラグインの引用:Zotero内蔵のMendeleyインポーターで移した後、Word・LibreOfficeプラグインが旧引用を読み、移行項目と再関連付けできます。単純なRIS/BibTeX読み込みとは異なります。文書コピーで更新を検証してください。
  • Mendeley Citeの引用:Zoteroはこのフィールドを読めないため、ライブラリ移行後も旧稿の引用を別処理します。

詳細は引用互換性の公式説明と既存原稿の引用に関する説明を参照してください。

後者では旧稿をCiteで継続する方法があります。移行が必須ならコピー上で段階的にZotero引用を作り直し、ページ、接頭辞・接尾辞、複数文献、参考文献表を照合します。リンク解除は文字列を残すだけで、再関連付けではありません。

Wordプラグインと引用形式:自分の執筆環境で試す

ZoteroはWord、LibreOffice、Google Docsとの公式連携があり、Mendeley CiteはMicrosoft Word向けアドインです。対応するWordとOSの版を別々に確認してください。Zotero連携、Mendeley Cite

Citeはクラウド庫から引用メタデータを取得し、旧Desktopの起動・インストールを必要としません。Mendeley公式説明

同じ短い課題で比較しましょう。

  1. 同姓・同年の別著者の論文を引用し、識別方法を確認する。
  2. 複数文献をまとめて引用し、ページや接頭辞を加える。
  3. 投稿先のスタイルへ変更し、脚注、著者リスト、雑誌略記を確認する。
  4. 共同執筆者に渡し、編集と更新を試す。

自分の1台でしかできない操作がある場合は、個人の速度より先に共同作業条件を整えます。

AI:Mendeleyの公式機能とZoteroの拡張

MendeleyのAIとプランの範囲

Mendeleyの料金ページにはReading Assistant、上位プランにはAsk My LibraryとCompare Experimentsが記載されています。無料プランでは 2 GBの個人用ストレージが提供されます。公式料金ページには Reading Assistantへの質問5回と記載されていますが、利用資格と残りの質問回数はアカウントの現在の表示で確認してください。毎月自動的に回復する枠とは解釈しないでください。追加のAI機能は有料プランによって異なります。現在のMendeleyプラン

アップグレード前に、単論文の読解、ライブラリ横断の質問、研究比較のどれが必要かを決め、対応する権限を確認してください。

Zotero拡張とBibGenie

既存のZotero庫を使い続けるなら、研究作業に合うAIプラグインを選べます。私たちの BibGenie は、論文・ノートへの質問、OpenAlexによる研究発見、Zotero内の整理を支援します。出典のある回答は原資料で検証できます。

プラグインのプラン、モデル設定、データの流れを個別に確認してください。自分のAPIキーでも推論が無料になるわけではなく、サービスと契約に応じた費用がかかります。導入ガイドを参照してください。

試す際は「この論文の主な限界と、それぞれの根拠箇所は?」と質問し、正確さ、原文確認の容易さ、必要操作数を比較します。

閲覧・翻訳・ノート・LaTeXの拡張は Zoteroプラグイン紹介をご覧ください。

よくある質問

次の一歩:新しい原稿と既存原稿の両方で検証する

新稿では操作習慣を、旧稿では移行の負担を比較できます。両方を試してから全体を移すか、新プロジェクトから導入するか決めましょう。

EndNoteも候補なら EndNote vs Zotero、無料・試用・機関契約を広く比較するなら文献管理ツールの選び方を参照してください。